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三島由紀夫さんという人

三島由紀夫さんに心酔していました。高校の頃です。



s_三島由紀夫3



まず最初にあの劇的な死があり、その後に「春の雪」を、そして「奔馬」を読みました。これ以上に効果的な小説の鑑賞法はなかったでしょう。

その陶酔から醒めたのは、浅田彰さん(と島田雅彦さん)の「天使が通る」の三島由紀夫論を読んだ時でした。

三島由紀夫特集(『新潮』一九八八年一月号)の時点で依然として、三島は本気で死んだのだ、「神」なき日本近代において逆説的に「神」を希求すべく最後の侵犯行為を行ったのだ、といった論調が見られた(たとえば富岡幸一郎「仮面の『神学』」)のには、率直に言って唖然とした。三島のなかにそういう意図がまったくなかったわけではないとしても、そんな単純な図式で割り切れる人間でないことは明白ではないか。三島をバタイユらと結び付けて論ずるのも適当ではない。三島がバタイよりはるかに小心であり、同時に、はるかに頭がいいことは、これまた明白ではないか』

謎が解けました。

三島由紀夫は、すべて計算していました。自分の人生まで自分の作品としようとしたのです。

正田美知子さんとの縁談が叶わなかったという事実を、

豊饒の海」という壮大な物語(=フィクション)にしました。

物語のオチは、清顕も勲もジンジャン(「暁の寺」)も透(「天人五衰」)も、本多繁邦の頭の中に描かれた妄想だった(のではないか)ということでした。

「豊饒の海」とは、月にある海です。

それが、豊饒とは名ばかりで何もない空虚な海に過ぎないように、

絢爛豪華な物語は、すべてストーリーテラー(狂言回し)である本多が作り出したものです。

その本多は老いて、精神の変調をきたし醜態をさらします。

三島由紀夫のあの芝居がかった切腹という凡庸な茶番劇は、

自らを「三島由紀夫事件」という物語に閉じ込めるために行ったのです。本多のように醜態をさらすことによって。

あんなに無意味で恥ずかしいことを、あの自意識過剰な三島が本気でするわけがありません。

それが分かって三島に対する熱はすーっと引きました。

もっとも、そんなことを言いながら、好きなんですよね、三島みたいな偽物が。


<人はみんな偽物なんじゃないかと思います。悪人のほとんどは極悪人を気取っているし、善人のほとんどが完璧主義な偽善者なように>




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ドクターサナギ

Author:ドクターサナギ
「あさなぎクリニック」心療内科・精神科・メンタルクリニックの医師です。反田克彦(そりた・かつひこ)と申します。クリニックは山梨県甲府市の蓬沢町にあります。国道20号(甲府バイパス)の近くで、石和や八代(笛吹市)や甲州市からも、大月や都留、南アルプス市や韮崎、北杜市からのアクセスも良好です。臨床心理士によるカウンセリング、うつ病の復職支援施設・リワークポルト、あさなぎカフェも併設されています。

本を読んだり、音楽を聴いたり、昔の映画を見るのが好きです。どうぞよろしく。

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