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「遅発性」ADHDは、はたして発達障害と言えるのか。そもそもADHDなのか。

ADHDに関する衝撃的な2つの研究論文が二つ発表されました(2016年5月18日)。JAMA Psychiatry(米医師会の精神医学専門誌です)



ADHD2


これは以前ブログで紹介したダニーディン・スタディの追試にあたります。

今回は、その内の一つロンドンの研究(もう一つはブラジルです)についてご紹介します。


「青年のADHD患者の多くは、子供の頃にADHDの診断を受けてない」
 by ルイス・アーセナル等 キングスカレッジ(ロンドン)


166人の大人のADHDのうち、67.5%(112人)は子供の頃にADHDの診断に当てはまりませんでした。著者らによると、「遅発性」ADHDの人は、永続的なADHDの人に比べて子供の頃には目立った問題が少なく、高いIQでした。

もっとも、「遅発性」ADHDの人は、青年期になると永続的なADHDに匹敵す症状や障礙や、精神疾患を合併するようになります。

著者らは、永続するADHDと完解するADHDの違いについて調べました。イングランドとウェールズで生まれた2040人の双子のコホートスタディーが研究対象でした。

247人が子供のADHDと診断され、その内54人(21.9%)が18才の時点でもADHDと診断されました。

永続するADHDの場合は、子供の頃の症状が重篤で、IQが低く、機能障害(学業や仕事や家庭での、あるいは友達との)や、全般性不安障害、マリファナ依存が、完解したADHDよりも顕著でした。

18才時点での診断がセルフレポートのみに基づいている点が本研究の限界です。

子供の頃から永続する大人のADHDと「遅発性」ADHDが異なった疾患であるかどうかについてはさらなる研究が必要です。


<大人のADHDと子供のADHDでは違うのではないかというのが素朴な疑問でした。衝撃的ですが、なるほどと思わせる結果です>

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先日、山梨県成人期ADHD講演会(2016年9月8日・甲府古名屋ホテルにて・日本イーライリリー社主催)が開かれ、

三河病院(愛知県岡崎市)の大賀肇院長をお招きしてお話しをうかがいました(『成人期ADHDの可能性を疑う「視点」~様々な疾患に潜むADHD』)。

大賀さんは小児科の研修をされた後で精神科医になり、児童の精神科を中心として大人の精神疾患も見ている方です。

小児科及び小児と大人の精神科のエキスパートは貴重です。示唆に富んだ刺激的な内容で、疑問の一部は解け、一部を共有することができました(内容に関しては後日ご紹介する予定です)。

フロアから「小児科医からADHDと診断されて紹介されてくる、患者さんは精神科医から見るとどう見てもASDと診断されるがなぜか?」という質問がありました。とても本質的な疑問だと思います。大賀さんは、小児科医と精神科医では着目する症状が違うのではないかとお答えになりました(これに関してはじっくりお聞きしたいです)。

大賀さんは、これからは精神科医と小児科医の交流がとても重要だとおっしゃっていました(とくに、精神科医が小児科に対して大人のADHDについて説明すること)。とても魅力的かつ刺激的なお話しでした。

先生には台風で身延線が止まる中を大慌てで来ていただき、翌日のスケジュールの関係でとんぼ返りされました。個人的お聞きしたい質問が山ほどあったのですが、次の機会にお預けです。

<講演会では基調講演として、響ストレスケアの大橋昌資院長が「通常外来における成人期発達特性の現状と取り組み」を行い、私が座長つとめさせていただきました>

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以下を参考にしました。

Many Young Adults with ADHD Did Not Have Childhood Diagnosis

Among a group of young adults with ADHD at age 18, many of them did not meet diagnostic criteria for ADHD at any assessment in childhood, according to a study by Louise Arseneault, Ph.D., of King's College London, and colleagues.

Among the 166 individuals with adult ADHD, 67.5 percent (112) did not meet the criteria for ADHD at any assessment in childhood. Analyses by the authors indicate that individuals with "late-onset" ADHD showed fewer externalizing problems and had higher IQ in childhood than those participants with persistent ADHD.

However, by young adulthood, participants with "late-onset" ADHD showed comparable ADHD symptoms and impairment, along with elevated rates of mental health disorders to those with persistent ADHD.

The authors also examined childhood predictors of ADHD persistence and remittance. They looked at functioning of participants with persistent, remitted (subsided) or late-onset ADHD to see how they compared. The study analysis included 2,040 participants from a cohort study of twins born in England and Wales.

The authors identified 247 individuals who met the diagnostic criteria for childhood ADHD; 54 (21.9 percent) also met criteria for the disorder at age 18. Persistent ADHD was associated with more childhood symptoms, lower IQ and, at age 18, those individuals had more functional impairment (school/work and home/with friends), generalized anxiety disorder, conduct disorder, and marijuana dependence compared with those whose ADHD had remitted, according to the results.

Study limitations include that diagnostic information on ADHD at age 18 was based only on self-reports. However, findings were corroborated by reports from co-informants.

"Further studies are needed to better understand the nature of the heterogeneity of the adult ADHD population. The extent to which childhood and 'late-onset' adult ADHD reflect different causes may have implications for research and treatment" the study concludes.


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ドクターサナギ

Author:ドクターサナギ
「あさなぎクリニック」心療内科・精神科・メンタルクリニックの医師です。反田克彦(そりた・かつひこ)と申します。クリニックは山梨県甲府市の蓬沢町にあります。国道20号(甲府バイパス)の近くで、石和や八代(笛吹市)や甲州市からも、大月や都留、南アルプス市や韮崎、北杜市からのアクセスも良好です。臨床心理士によるカウンセリング、うつ病の復職支援施設・リワークポルト、あさなぎカフェも併設されています。

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