さなぎ日記:あさなぎクリニック心療内科のブログです。こころの健康、コミュニケーション、おいしいお店や、映画のことも。

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夏目漱石 ~双極性障害(かつての躁うつ病)

夏目漱石 ~双極性障害(かつての躁うつ病) サムネイル画像
夏目漱石がこころを病んでいたことはよく知られています。うつ状態や躁状態の時期を繰り返すことに加えて、被害妄想や幻聴があったそうです。東大教授だった主治医の呉秀三さんは「妄想性痴呆」と診断をしたそうです。今でいう妄想型の統合失調症という意味だと思います。その他神経衰弱という診断名がついたこともありました。これも、統合失調症を想像させる病名です。しかし、統合失調症の十分な治療法(1950年代終わりにク...全文を表示
夏目漱石がこころを病んでいたことはよく知られています。

うつ状態や躁状態の時期を繰り返すことに加えて、被害妄想や幻聴があったそうです。

東大教授だった主治医の呉秀三さんは「妄想性痴呆」と診断をしたそうです。今でいう妄想型の統合失調症という意味だと思います。その他神経衰弱という診断名がついたこともありました。これも、統合失調症を想像させる病名です。

しかし、統合失調症の十分な治療法(1950年代終わりにクロルプロマジンという治療薬ができました)のなかった時代に、病気から回復していること、創作の質が落ちてないことなどを考えると、現代なら統合失調症という診断はつけなかったでしょう。

おそらく、今なら精神病症状を伴った双極性障害(かつての躁うつ病です)に相当するのではないでしょうか。双極性障害は気分障害に分類されます。気分障害の範囲は以前よりも広くなっています(かつての統合失調症の一部が気分障害になっています)。

夏目漱石は、日光の華厳の滝に投身自殺したことで有名になった一高生藤村操さんの英語の教師でした。彼が、漱石に叱責された直後に亡くなったため、漱石は強い自責感から深刻な抑うつ状態になったそうです。

藤村操さんは「巌頭之感」という遺書を残して滝に飛び込みました。

そこには「・・・万有の真相は曰く、不可解」と記されており、哲学的な自殺と呼ばれました。後追い自殺が頻発しました。現在では、自殺の原因は哲学ではなく失恋だったという説が濃厚なようです。

ならば、漱石もそこまで自分を責めなくてもよかったのにとも思います。



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夏目漱石がこころを病んでいたことはよく知られています。

うつ状態や躁状態の時期を繰り返すことに加えて、被害妄想や幻聴があったそうです。

東大教授だった主治医の呉秀三さんは「妄想性痴呆」と診断をしたそうです。今でいう妄想型の統合失調症という意味だと思います。その他神経衰弱という診断名がついたこともありました。これも、統合失調症を想像させる病名です。

しかし、統合失調症の十分な治療法(1950年代終わりにクロルプロマジンという治療薬ができました)のなかった時代に、病気から回復していること、創作の質が落ちてないことなどを考えると、現代なら統合失調症という診断はつけなかったでしょう。

おそらく、今なら精神病症状を伴った双極性障害(かつての躁うつ病です)に相当するのではないでしょうか。双極性障害は気分障害に分類されます。気分障害の範囲は以前よりも広くなっています(かつての統合失調症の一部が気分障害になっています)。

夏目漱石は、日光の華厳の滝に投身自殺したことで有名になった一高生藤村操さんの英語の教師でした。彼が、漱石に叱責された直後に亡くなったため、漱石は強い自責感から深刻な抑うつ状態になったそうです。

藤村操さんは「巌頭之感」という遺書を残して滝に飛び込みました。

そこには「・・・万有の真相は曰く、不可解」と記されており、哲学的な自殺と呼ばれました。後追い自殺が頻発しました。現在では、自殺の原因は哲学ではなく失恋だったという説が濃厚なようです。

ならば、漱石もそこまで自分を責めなくてもよかったのにとも思います。



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