海 ラ・メール ドビュッシー ノルマンディー 神奈川 北斎
海のないところに生まれ育ったので、海に対しては憧れがあります。静かな海も好きですが、荒々しい海も好きです。夕陽を浴びながらサーフィンをしているような海も。海に対しては少しファンタジックな思いがあるかもしれません。もちろん、本物の海は恐ろしいこともあるのでしょうが。写真はピエール・ブーレーズが指揮した、ドビュッシーの海のレコードです。ドビュッシーは坂本龍一さんが最も好きな作曲家です。坂本龍一ファンで...全文を表示
海のないところに生まれ育ったので、海に対しては憧れがあります。静かな海も好きですが、荒々しい海も好きです。夕陽を浴びながらサーフィンをしているような海も。
海に対しては少しファンタジックな思いがあるかもしれません。もちろん、本物の海は恐ろしいこともあるのでしょうが。
写真はピエール・ブーレーズが指揮した、ドビュッシーの海のレコードです。
ドビュッシーは坂本龍一さんが最も好きな作曲家です。
坂本龍一ファンであり、ブーレーズも好きな僕としては、この「海」は何度も聞いたのですが、のめり込むところまではいきませんでした。<音楽的な素養がないからでしょう>
ドビュッシーはこの曲を、ノルマンディの海辺でつくったそうです。ノルマンディといえば、映画「男と女」でアヌーク・エーメとジャン・ルイ・トランティニャンが、強い風の中を連れだって歩くドーヴィルを思い出します。
もちろん、「プライベート・ライアン」に描かれた、壮絶なノルマンディ上陸作戦もですが。
実は、ドビュッシーの「海」のモチーフはもう一つあります。
1889年のパリの万博で見た、葛飾北斎の富岳三十六景・神奈川です。開国した日本が最初に参加したパリ万博が1867年(翌年が明治元年です)でした。これによってフランスにはジャポニスム(日本趣味が)生まれ、それがピークに達したのが1889年の万博でした。
<ゴッホが北斎を見て影響を受けたのも1889年の万博でしょう>
ドビュッシーは、2歳年下の美貌の友人カミーユ・クローデル連れだって、万博を見たそうです。カミーユはドビュッシーのロダンの弟子(愛人でもあった)の天才彫刻家です。
ドビュッシーの「海」の楽譜の初版には北斎の「神奈川」が描かれています。
北斎のすごいところは、デフォルメしていてもそれを不自然と感じさせないところでしょう。
偶然ですが、ゴッホもカミーユ・クローデルも精神に変調をきたして、精神病を病み、病院で最期を迎えています。
<精神の病は、人の感受性の振れ幅を大きく増幅します。二人にはそういうものに対する親和性があったのかもしれません>
海というのは、時として凶暴なものです。凪(なぎ)ばかりではありません。
海からの連想を、とりとめもなく書きました。
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海のないところに生まれ育ったので、海に対しては憧れがあります。静かな海も好きですが、荒々しい海も好きです。夕陽を浴びながらサーフィンをしているような海も。
海に対しては少しファンタジックな思いがあるかもしれません。もちろん、本物の海は恐ろしいこともあるのでしょうが。
写真はピエール・ブーレーズが指揮した、ドビュッシーの海のレコードです。
ドビュッシーは坂本龍一さんが最も好きな作曲家です。
坂本龍一ファンであり、ブーレーズも好きな僕としては、この「海」は何度も聞いたのですが、のめり込むところまではいきませんでした。<音楽的な素養がないからでしょう>
ドビュッシーはこの曲を、ノルマンディの海辺でつくったそうです。ノルマンディといえば、映画「男と女」でアヌーク・エーメとジャン・ルイ・トランティニャンが、強い風の中を連れだって歩くドーヴィルを思い出します。
もちろん、「プライベート・ライアン」に描かれた、壮絶なノルマンディ上陸作戦もですが。
実は、ドビュッシーの「海」のモチーフはもう一つあります。
1889年のパリの万博で見た、葛飾北斎の富岳三十六景・神奈川です。開国した日本が最初に参加したパリ万博が1867年(翌年が明治元年です)でした。これによってフランスにはジャポニスム(日本趣味が)生まれ、それがピークに達したのが1889年の万博でした。
<ゴッホが北斎を見て影響を受けたのも1889年の万博でしょう>
ドビュッシーは、2歳年下の美貌の友人カミーユ・クローデル連れだって、万博を見たそうです。カミーユはドビュッシーのロダンの弟子(愛人でもあった)の天才彫刻家です。
ドビュッシーの「海」の楽譜の初版には北斎の「神奈川」が描かれています。
北斎のすごいところは、デフォルメしていてもそれを不自然と感じさせないところでしょう。
偶然ですが、ゴッホもカミーユ・クローデルも精神に変調をきたして、精神病を病み、病院で最期を迎えています。
<精神の病は、人の感受性の振れ幅を大きく増幅します。二人にはそういうものに対する親和性があったのかもしれません>
海というのは、時として凶暴なものです。凪(なぎ)ばかりではありません。
海からの連想を、とりとめもなく書きました。
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