さなぎ日記:あさなぎクリニック心療内科のブログです。こころの健康、コミュニケーション、おいしいお店や、映画のことも。

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「コロナ・パンデミック・ドリームについて」  LIFE+1 6月16日(2020年)はこんなことをお話しました

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「コロナウイルス・パンデミック・ドリーム」(FM-FUJI LIFE+1(6月16日)でお話した内容を元にしています)新型コロナが流行して、悪夢や奇妙な夢を見る現象を経験している人が世界的に増えました。夢となる素材は、日常のエピソードですから、日中いつもコロナのことを心配していると、それに関連した夢を見るのはごく普通のことです。もっとも、元々心療内科に来られる患者さんの多くは悪夢を見ていました。会社でパワハラを...全文を表示
「コロナウイルス・パンデミック・ドリーム」


(FM-FUJI LIFE+1(6月16日)でお話した内容を元にしています)

新型コロナが流行して、悪夢や奇妙な夢を見る現象を経験している人が世界的に増えました。

夢となる素材は、日常のエピソードですから、日中いつもコロナのことを心配していると、それに関連した夢を見るのはごく普通のことです。

もっとも、元々心療内科に来られる患者さんの多くは悪夢を見ていました。

会社でパワハラを受ける夢だったり、友達に裏切られたり、崖から突き落とされるような夢です。

PTSDという心的外傷後ストレス障害という病気があります。

命が危険にさらされるような体験、たとえば、災害や犯罪や戦争によって、衝撃を受けた人が、その時の光景を、悪夢や、フラッシュバックによって繰り返し体験する病気です。コロナ・パンデミック・ドリームもその一種ではないでしょうか。

これから夢と現実に関連したちょっと意外なお話をしますね。

普段私たちは現実をそのまま見ているわけじゃないんですよ。「えっ」と思いませんか?

言ってみれば、ビデオカメラで撮影した映像を、目のすぐ前にあるスクリーンに映して見ているようなものなんです。しかもそこに写しだされている映像は現実そのものではなくて、修正されているんです。PCで画像を修正するのと同じです。修正する場所は脳の後ろの部分にある後頭葉です。

(拒食症の人は実際にはいくら痩せていても、鏡に映った自分が太っているように脳が修正して見ているんだと思います)

例えば、暗い夜道を一人で歩いているとします。心細いですよね。そうすると木の影が人に見えたりします。拒食症の人が、いくら痩せても鏡に映った自分が太って見えるのもそうでしょう。「あばたも笑窪」もそうではないでしょうか。

一つ具体的な例を上げますね、レビー小体型認知症という病気があります。この病気の方は、後頭葉の機能が落ちています。それで見間違いや、幻覚が良く起こるんです。たとえば選挙のポスターを見た時に、候補者が話しかけているように見えたりするんです。テーブルの上に置いてあるコップが動いて見えたりします。これは、後頭葉による映像の修正機能のコントロールが出来なくなってしまうことで起きるんです。

夢もこれと同じです。脳に蓄えられている映像の素材が、後頭葉に送られて、そこで修正というか加工されて夢になるのですが、もちろん、眠っている時は後頭葉の機能は落ちているので、先ほどのレビーの患者さんと同じように、映像の修正作用が暴走して荒唐無稽な夢を見るわけです。

夢の中には、“現実に近い夢”と“非現実的な夢”がありますが、これはどういうことかというと、

眠るとまず脳の全体が眠るノンレム睡眠になります。時間と共にだんだん深い眠りになって、1時間くらいでピークになって、その後浅くなっていって、だいたい1時間半くらいの所で、夢を見る睡眠のREM睡眠になるんです。これは、それまで脳全体が眠っていたけれど、脳の一部が目を覚ますと考えてください。

この時に、前頭葉という、物事を筋道立てて考える脳の部分がしっかり眠っていると、現実的でない夢になります。ところが、昼間心配なことがあると前頭葉が興奮していて、十分眠っていません。そういう時にはリアルな夢になるんです。

ちょっと脱線すると、先ほど夢は眠って1時間半経ったところで初めて見ると言いましたが、眠ってすぐに夢を見る病気があります(これはナルコレプシーと言って、突然眠ってしまう病気で、日本の中高生に多いんですが)。眠ってすぐに夢を見るのでまだ前頭葉が眠ってないんです。そうすると筋の通ったリアルな夢になります。

教室で居眠りして夢を見ると、それまで教室で見ていた授業のシーンが夢に出てきて、目を覚ましてから、あれっ、あれは夢だったのか、現実だったのか分からなくなったりします。

またナルコレプシーの患者さんは、夜眠ってすぐに夢を見て、何かの拍子に目を覚ますと、起きていながら夢を見ている状態になります。これを入眠時幻覚と言います。金縛りもそんな状態です。

悪夢を見ないようにできるかというと、

悪夢を見るようになる薬はあるんですが、悪夢を見なくさせる薬は僕は知りません。あってもいいと思います。

もちろん、昼間の内に現実の問題を解決しておけば、悪い夢はあまり見ないと思います。

もっとも夢は、日中解決できなかった心の問題を、解決するために見ると考えている研究者もいます。アンドレア・ロックさんという女性もその一人です。同じような夢を何度も繰り返してみながら、夢の中で問題を解決するんだそうです。

彼女は、夢には自己セラピーの作用があると言っています。無意識を発見したフロイトも、夢は眠りの番人だと言っていますが、それと似ているように思います。

以上

(時間の関係でやや舌足らずなところがあったので)放送の内容に一部手を加えました。


さなぎ2


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「コロナウイルス・パンデミック・ドリーム」


(FM-FUJI LIFE+1(6月16日)でお話した内容を元にしています)

新型コロナが流行して、悪夢や奇妙な夢を見る現象を経験している人が世界的に増えました。

夢となる素材は、日常のエピソードですから、日中いつもコロナのことを心配していると、それに関連した夢を見るのはごく普通のことです。

もっとも、元々心療内科に来られる患者さんの多くは悪夢を見ていました。

会社でパワハラを受ける夢だったり、友達に裏切られたり、崖から突き落とされるような夢です。

PTSDという心的外傷後ストレス障害という病気があります。

命が危険にさらされるような体験、たとえば、災害や犯罪や戦争によって、衝撃を受けた人が、その時の光景を、悪夢や、フラッシュバックによって繰り返し体験する病気です。コロナ・パンデミック・ドリームもその一種ではないでしょうか。

これから夢と現実に関連したちょっと意外なお話をしますね。

普段私たちは現実をそのまま見ているわけじゃないんですよ。「えっ」と思いませんか?

言ってみれば、ビデオカメラで撮影した映像を、目のすぐ前にあるスクリーンに映して見ているようなものなんです。しかもそこに写しだされている映像は現実そのものではなくて、修正されているんです。PCで画像を修正するのと同じです。修正する場所は脳の後ろの部分にある後頭葉です。

(拒食症の人は実際にはいくら痩せていても、鏡に映った自分が太っているように脳が修正して見ているんだと思います)

例えば、暗い夜道を一人で歩いているとします。心細いですよね。そうすると木の影が人に見えたりします。拒食症の人が、いくら痩せても鏡に映った自分が太って見えるのもそうでしょう。「あばたも笑窪」もそうではないでしょうか。

一つ具体的な例を上げますね、レビー小体型認知症という病気があります。この病気の方は、後頭葉の機能が落ちています。それで見間違いや、幻覚が良く起こるんです。たとえば選挙のポスターを見た時に、候補者が話しかけているように見えたりするんです。テーブルの上に置いてあるコップが動いて見えたりします。これは、後頭葉による映像の修正機能のコントロールが出来なくなってしまうことで起きるんです。

夢もこれと同じです。脳に蓄えられている映像の素材が、後頭葉に送られて、そこで修正というか加工されて夢になるのですが、もちろん、眠っている時は後頭葉の機能は落ちているので、先ほどのレビーの患者さんと同じように、映像の修正作用が暴走して荒唐無稽な夢を見るわけです。

夢の中には、“現実に近い夢”と“非現実的な夢”がありますが、これはどういうことかというと、

眠るとまず脳の全体が眠るノンレム睡眠になります。時間と共にだんだん深い眠りになって、1時間くらいでピークになって、その後浅くなっていって、だいたい1時間半くらいの所で、夢を見る睡眠のREM睡眠になるんです。これは、それまで脳全体が眠っていたけれど、脳の一部が目を覚ますと考えてください。

この時に、前頭葉という、物事を筋道立てて考える脳の部分がしっかり眠っていると、現実的でない夢になります。ところが、昼間心配なことがあると前頭葉が興奮していて、十分眠っていません。そういう時にはリアルな夢になるんです。

ちょっと脱線すると、先ほど夢は眠って1時間半経ったところで初めて見ると言いましたが、眠ってすぐに夢を見る病気があります(これはナルコレプシーと言って、突然眠ってしまう病気で、日本の中高生に多いんですが)。眠ってすぐに夢を見るのでまだ前頭葉が眠ってないんです。そうすると筋の通ったリアルな夢になります。

教室で居眠りして夢を見ると、それまで教室で見ていた授業のシーンが夢に出てきて、目を覚ましてから、あれっ、あれは夢だったのか、現実だったのか分からなくなったりします。

またナルコレプシーの患者さんは、夜眠ってすぐに夢を見て、何かの拍子に目を覚ますと、起きていながら夢を見ている状態になります。これを入眠時幻覚と言います。金縛りもそんな状態です。

悪夢を見ないようにできるかというと、

悪夢を見るようになる薬はあるんですが、悪夢を見なくさせる薬は僕は知りません。あってもいいと思います。

もちろん、昼間の内に現実の問題を解決しておけば、悪い夢はあまり見ないと思います。

もっとも夢は、日中解決できなかった心の問題を、解決するために見ると考えている研究者もいます。アンドレア・ロックさんという女性もその一人です。同じような夢を何度も繰り返してみながら、夢の中で問題を解決するんだそうです。

彼女は、夢には自己セラピーの作用があると言っています。無意識を発見したフロイトも、夢は眠りの番人だと言っていますが、それと似ているように思います。

以上

(時間の関係でやや舌足らずなところがあったので)放送の内容に一部手を加えました。


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