こころの健康、コミュニケーション、おいしいお店や、映画のことも 

正しければいいというものではない、と思うようになりました。

正しければいいというものではない、と思うようになりました。


医者になりたての頃は、頭でっかちでした。

「ある病気にはある薬が効く」というエビデンスがあると、薬を飲みたくない患者さんも必死で説得していました。

患者さんが指示に従わないと沽券にかかわるというような、子供っぽい思いもあったのでしょう。

ですが、無理に説得しても患者さんは良くなりません。心の疾患の場合にはプラセボ効果が大きいので、いやいや飲んでも効きません。

仕事を続ける(辞める)、離婚する(やり直す)などの判断もそうです。多くの人の目には明らかに離婚する方がいいように見えても、ご本人は離婚をためらう場合があります。

そういう時にも説得はしないようになりました(緊急性がない場合です)。

急いで決めずに、少し間をおいてから考えましょう、と言って一時棚上げにします。そうしていると、

「あれから考えたんですけれど、やっぱり離婚することにしました」と自分で決める場合があります。もちろん自分で決める方がいいです。

時間を引き延ばして、その間は白黒をはっきりつけないというやり方です。せっかちさんには向かないんですけれど。


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統合失調症について

統合失調症についての講演を依頼されました。久しぶりです。


統合失調症についてお話した経験はこの6年間で3回だけです。認知症、AHHD、社交不安症、うつ病、不眠症、リワークなどが多いテーマです。いい意味で統合失調症は旬の疾患ではないのかもしれません。

以前は「精神分裂病」と呼ばれていました。2002年8月の日本精神神経学会で「統合失調症」に変更されました。

「精神分裂」という病名には誤解や偏見が纏わりついていたからです。なったら治らない。病院に一生閉じ込められる。家族がなったら結婚できない。などです。

ご家族やご本人に病名を告げることはためらわれました。落胆が目に見えたからです。仕方なく「分裂病にならないように、ちゃんと治療しておきましょう」などと言って誤魔化していました。

1952年にクロールプロマジン(ドーパミン遮断薬)が発売され、幻覚や妄想を抑えられるようになり、閉鎖病棟に入院していた患者さんの多くが退院できるようになりました。もっとも「頭が働かない」などの副作用のために服用を中断して、病院に逆戻りする患者さんが大勢いました。

その後、1996年4月に世界から12年遅れて新しい抗精神病薬のリスぺリドン(セロトニン・ドーパミン拮抗薬)が発売されました。意欲の低下や錐体外路症状(体の震え、じっとしていられない)などの副作用の少ない薬です。患者さんは薬を飲み続けることができるようになり、自宅で生活する方が多くなりました。

2002年にはアリピプラゾール(ドーパミン部分作動薬)が発売されて、自宅療養から社会復帰できる方がとても増えましました。

近年、統合失調症は軽症化しています。早い段階で治療するので重症化しないという面もあるでしょう。予約制のクリニックなので、緊急を要する急性期の方は少ないということもあるでしょう。ですがそれだけではないように感じます。精神科病院を来院する初診患者さん(重症の患者さん)は減っていると最近お聞きしました。

ご自分で来院する方が増えました。うつ病ではないかと思って来る方も、統合失調症を疑って来る方もいます。以前は大勢の家族に連れられて来たり、警察官に伴われて来ることが少なくありませんでした。

病識がある方が多いので、外来で治療するのが一般的になりました。「人格が荒廃する」ような方は外来ではまず見かけません。ビューティフルマインドのように映画で取り上げられたり、ハウス加賀谷さんのように自ら病気であることを明らかにする芸能人もなども増えています。

最近では、病名を告知するのが普通になりました。いい薬があるので、しっかり治療すれば十分に社会生活を営むことが可能だと説明することができるようになりました。隔世の感があります。

地域や文化に関係なく約1%の人がかかるありふれた病気です。病気の原因はまだ分かっていませんが、遺伝と環境が発症に関係しています(一卵性双生児の一致率48%)。10代~20代に発症する人が多いですが、女性の場合には40代~50代で初発する方も少なくありません。環境からのストレスやホルモンの影響などが関係します。

統合失調症の治療の歴史は、薬物療法の進歩の歴史だと思います。その意味では医療が果たした役割は多くはないと思います。

今でも県が実施する実地審査など際には、精神科病院に行き、精神保健指定医として患者さんを診察する機会があります。治療法が洗練されていなかった時代に病気になって、何度も再発を繰り返して病院に長期間入院している方々を目にします。

今だったら多くの方が社会に出て活躍していたのに、と思うと複雑な気になります。

学生の頃、一番興味があった疾患は統合失調症でした。普通の人がうかがい知ることのできない不思議な世界を体験している人に対する純粋な興味でした。精神病理学の先駆者達の書物を繙いては想像を膨らませていました。

最近では、統合失調症に関する本や論文を読むことは激減しました。統合失調症がかつて纏っていた神秘のベールが取り除かれたからです。

3年前に調べた時点では、あさなぎクリニックの初診の患者さんの2.8%が統合失調症で、通院している方の85%が職業を持っていました(定年で引退した方や子育て中の主婦も含みます)。他の疾患に比べて転職が少ない傾向があります。

お薬を飲み続けなければならない疾患なので、通院患者さんに占める統合失調症の方の割合は、現在はもっと増えているはずです。

紹介状に「統合失調症」と書いてなければ、まったくそんな風に思えない方が大勢います。管理的な業務をしていたり、専門職についている方も少なくありません。

<そんなわけで、統合失調症に関してはこれはというようなトピックスは知りません。これもいいことなんだと思います>



「ちゃんと手をつないでないと、逃げちゃいますよ、彼女」

「手をつないでないと、連れていかれちゃうよ、彼女」


ガスパニック


40年近く前に言われました。妙齢の日本の女性から。

六本木のワイキキビーチより日本人の少ない箱でした。

フロアーには、体臭の濃い黒い肌の屈強な男性が、舌なめずりをして目をギラギラさせて手ぐすねをひいていました。

トイレに行こうとした時にその女性から忠告を受けました。

でも女性をトイレの個室に連れていくわけにもいかず、

トイレから帰ると…・

<一部、フィクションです>



アンガ―マネジメント初級講座を聞きました。

アンガ―マネジメントとは、


アンガ―マネジメント


怒る必要のあることは上手に怒り、怒る必要のないことは怒らないことです。

怒りは人間の自然の感情なので、なくなりません。

怒る場合には他人も自分も傷つけず、物も壊さないことが重要です。

些細なことで怒ったり、怒り過ぎたり、いつまでも根に持ったりしないようにしましょう。

腹を立てた時には、相手を非難するのではなく、自分の感情を表現しましょう(「あなたに・・・と言われて、悲しかった」とか)。

怒りは6秒我慢すればピークは過ぎます。それをやり過ごすには、
 ・手のひらに怒りの内容を書く
 ・タイムアウト:「5分経ったら戻って来るから、ごめんね」と言って席を外す
 ・カウントバック:100から3づつ引く。97,94,91,88・・・・
 ・グラウンディング:身近なものを観察する。タバコのパッケージの文章を読む
 ・コーピングマントラ:呪文を唱えること。「私は大丈夫」と繰り返す
 ・深呼吸する

イライラを数値化するのは効果的です。
 ・これまで最大の怒りを10として今の怒りに点をつけて怒りを相対化する(「あれ比べたら大したことない」とか)。

私たちを怒らせるものは「べき」。「べき」は人や時代や立場によって変わります。

<「恋人は異性であるべき」という人もいますよね。そうじゃない人も>

そうである「べき」理想と、現実のギャップが怒りを産みます。
 ・自分にとって許せない「べき」を小さくして、許容範囲を広げることが大切です。
 ・変えられないことに対しては、次善の策を考えるか、重要でなければ捨てましょう。
 ・自分の「べき」が他人と合わないなら、許容範囲を相手に伝え、お互いに歩み寄りましょう。

怒りは高いところから低いところに流れます。身近な対象程強くなります。


<以上、日本アンガ―マネジメント協会・土田英文さんの講座より(青中倶楽部2017年2月例会にて)>

ーーーーーーーーーーーーーーーー

子供や部下に八つ当たりする人は多いです。怒りを適切に処理することはとても大切です。

僕がこの講座で強く感じたのは、同じことなのですがその対偶です。

<「AならばB」の対偶は、「BでないならAでない」です>

「怒りは高いところから低いところに流れる」とすると、

「怒りは低いところでなければ流れない」がその対偶です。

人々は往々にして、巨悪に対しては簡単に諦めて、すぐに忘れますが、それではダメだと思います。

自分より強いものに対して怒りましょう。そしてそれを忘れないようにしましょう。

弱い人が強い人にいじめられていたら怒らなくてはダメです(担任の生徒がいじめられていて、いじめる生徒に怒らない先生は、生徒をいじめていることと同じです)。

<弱い人に怒ってはダメです。それをパワハラ、モラハラ、DVと言います>

以下のような人に対する怒りを風化させないようにしましょう。

「武器を使って人を殺傷したり、物を壊したりする行為はあったが、それを戦闘行為と呼ぶと、憲法第9条を破ることになるから、衝突と言い換えた」  by 稲田朋美外務大臣。

中学生が同級生に150万円支払わされたことを「いじめ」と呼ぶと、それを放置した先生とその監督責任である教育委員会の非を認めることになるから、「奢った」という被害者の言葉によって、いじめを認定しなかった、教育長。


恋愛と結婚

恋愛と結婚は別だと言いますよね。


心中天の網島
(心中天網島)


日本人が恋愛結婚をするようになったのは戦後です。アメリカの一夫一妻制が導入されたからです。

それ以前は恋愛結婚はタブーでした。結婚は家同士のもので、子供の頃から許婚(いいなずけ)として決められていることも多かったし、兄が死んだら弟と結婚するのも普通のことでした。結婚して3年子供ができなかったら一方的に離婚を言い渡されたり。

江戸時代の恋愛は、吉原などの遊郭にしかありませんでした。特別な階級にのみ許されていたといえます。

小春と治兵衛の「心中天網島」も、梅川と忠兵衛の「冥途の飛脚も、恋愛の対象は遊女でした。一般人の恋愛は悲しい結末をむかえました。

恋愛や結婚のあり方はその時代によって変わると言っていいでしょう。

恋愛結婚とは、結婚するきっかけが恋愛関係だった結婚ですが、「恋愛」は無条件にいつまでも続くわけではありません。そうなった場合には結婚を継続させるための別のモチベーションが必要となります。

それが子供だったり、経済だったりします。

いずれ子供が一人前になり、その後の生活におおよその見通しがついた場合には、「卒婚」もいいかもしれません。離婚はしないけれど、必要以上に相手を縛らない関係です。

料理や洗濯はそれぞれがすればいいですよね。自由に旅行をしたり。


<若い人が恋愛に対してとても淡泊になっているように感じます。これも時代でなのでしょう>

プロフィール

ドクターサナギ

Author:ドクターサナギ
「あさなぎクリニック」心療内科・精神科・メンタルクリニックの医師です。反田克彦(そりた・かつひこ)と申します。クリニックは山梨県甲府市の蓬沢町にあります。国道20号(甲府バイパス)の近くで、石和や八代(笛吹市)や甲州市からも、大月や都留、南アルプス市や韮崎、北杜市からのアクセスも良好です。臨床心理士によるカウンセリング、うつ病の復職支援施設・リワークポルト、あさなぎカフェも併設されています。

本を読んだり、音楽を聴いたり、昔の映画を見るのが好きです。どうぞよろしく。

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